2014年6月25日水曜日

コロンビア戦後の日本代表における改善点

2014年W杯、優勝を掲げていた日本代表は、早くも予選グループにて敗退が決定した。コロンビア戦においては、1-4という大差にて敗戦した。試合後に印象に残っていたのが、この早期の敗退に対する、責任感の強い選手らの姿勢である。長谷部キャプテンを筆頭に、長友、岡崎らが続き、自分達に責任がある、というコメントを残した。特に、岡崎は難しい角度からの得点を決めたのにもかかわらず、自分に対する責任と向き合おうとしていた。一方で、ザッケローニ監督は、日本は良い試合をした、というようなコメントを残している。

もし、この日本代表に改善点を挙げるとすれば、それは、根本的な部分に戻る必要があるのかもしれない。選手、監督、そして、その監督を選出したサッカー協会であるのかもしれない。今後を言えば、日本サッカー協会において、日本人のスタイルを良く知り尽くし、方向性を明確にできる、説得力のある人物像が必要であろう。そして、出来るだけ世代も若く、近代サッカーと現代の若者に対する理解力がある者。年配の方々の経験には、多大なる尊敬を示したい。一方で、フットボールはスポーツであり、監督にも同様、俊敏な判断力が必要とされるであろう。例えば、未だに現役であるカズ、W杯と海外での経験が豊富な中田氏、前日本代表の10番を背負った名波氏、ロンドンオリンピックで監督として日本をベスト4に導いた関塚氏らを、次期監督選定の決定権を握る主軸に据えるということも興味深いであろう。

監督に関して言えば、今回の日本代表のザッケローニ監督は、比較的、能力の最大限を活かしたのではないであろうか。そして、これまで同代表を導いたという事実に、感謝の気持ちを示したい。同監督はコロンビア戦後、やり残した事がある、というようなコメントを残しているが、4年間という短くない年数の中で繰り広げられてきた采配こそが、我々ファンが現実に拝見したザッケローニ監督の結果であると信じる。そして、時には、我々に希望を与えてくれた、W杯では優勝を掲げるまで選手を導いた、ということが同監督が残した最重要の功績であろう。一方で、唯一、改善点を挙げさせて頂けるとすれば、去年のブラジルにて開催されたコンフェデレーションカップ直後にあったのかもしれない。日本代表は、ブラジル、メキシコ、イタリアを相手に無敗で大会を終えた。得失点差は、-5と記録されている。特に、この大会は、日本が天敵としている南米勢と公式戦を交えることができる、絶好の機会の1つでもあった。通常、欧州の強豪国では、このような結果に終わったチームの監督は交代というのが、伝統的なシナリオとなっている。コンフェデというW杯に次ぐ大きな舞台でこの結果に終わったのだから、W杯でも同等な結果が予想されると判断するのがロジックであろう。結果、日本の協会側は、ザッケローニ監督に希望を託し、同監督の続行を決定した。この時の、多くのファンやサッカー関係者の動揺は、今でも記憶に残っているのではないであろうか。その後も、指導権を任されたザッケローニ監督は、例え、コンフェデ杯で失点だけでも9と記録されたDF陣を、今回のW杯まで信じ続けた。

フットボールの試合において、何が一番の敗因であったかを決めることは、ほぼ難しいであろう。協会側なのか、それとも監督なのか。メディアの中には、日本人選手の能力の限界を挙げ、世界の壁は高かった、というようなニュアンスも見られる。一方で、前監督のトルシエ氏や岡田氏といった、W杯において大敗をせずにベスト16にまで導いた監督らも存在している、ことを忘れてはならないであろう。これらの監督の違いは、個で戦うより、11人で戦うということに対する比重の置き方であると、推測する。例えば、岡田氏のような、例えキングとして慕われているカズでも、チームにフィットしなければ外す、というような勇気ある姿勢である。今回のW杯において、好調な結果を残している現フランス代表で言えば、デシャン監督が、ナスリを戦術上の理由よりメンバーから外したように。また、今大会において、ザックジャパンが見せたパワープレーだが、必要な時には使用することも可能であろう。ただ、パワープレーのキーマンになったのがDFの吉田であったりと、個に頼る部分がどうしても出てきてしまう。コロンビアという、フィジカル面が日本人選手より平均して優れているようなチームに対抗出来るだけの個の力が、今回の日本代表にあったのかは未だに不明であろう。ただ、はっきりとした数字の結果を言えば、1-4という4失点での敗戦である。ここで興味深いのは、もし、トルシエ氏が築き上げたフラット3が繰り広げるオフサイドトラップというような戦術が、現代表にもあったら、結果はどうなっていただろうか、ということである。Creative Footballでは、日本のスタイルには、規律やシステムというのもが、世界の強豪国を相手にしていく上で、より合っていると信じる。ゾーンディフェンスやオランダのトータルフットボール等も、良い例であろう。そして、3-5-2というシステムも未だにとても興味深い。今後の日本代表においては、個々のタレント性だけではなく、システムに合ったより的確なメンバー選出、ということを考慮に要れても良いのではないであろうか。

選手らに対する改善点を挙げるとなると、これはより困難となる。選手らの何人かが認めたように、地力がなかった、これが自分らの実力、というようなコメントに示されるように、我々ファンが目にした結果こそが、現実であろう。無論、監督の采配も少なからずとも影響していると推測される。ただ、監督の方向性に疑問を持っていない、というような長友のコメントが示すように、チーム内が極端に揺れていたという事実はないと信じる。チームであるから、何人かの選手が不満を持ったりすることは、どの国においても不思議ではないであろう。ただ、1つ強く念頭に置いているのは、誰かを個人的に叩いたりするようなことは、決して選手らの成長の糧にはならない、ということである。チーム全体として、協会を含む日本のサッカー界に関わる全般としての改善点こそが、未来における日本のサッカーの成長のために、より必要なことであるのかもしれないと、もし間違っていなければ、こう信じたい。

執筆:Dragonshoot



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