2014年1月12日日曜日

よりシンプルな事ほど奥が深い


Simple in B&W / Nanagyei


僕がヨーロッパにある王立芸術大学でイラストを専攻していた時、担任の教授に一番良いイラストとはどういったものなのか、という質問をしてみました。教授曰く、一番良いものは「シンプル」なものだと言っていました。その後、教授の言う「シンプル」なものはどういったものなのかというのが自分にとっても興味深い議題となり、今ようやくそれが分かり始めてきたような気がします。

では、どういったものがマスターピースなのか。それは、「シンプル」なものの中でも、特に「年月を積み重ねてき者だけが成せる業」、という結論に至りました。では、なぜこう思ったのかというのを説明しますと、それは自分自身も10年以上の年月を積み重ねて、さらに継続して同じ事を続けてきた過程で、自分の作品が表現してくれているからです。現在の自分の作品と10年前の作品の違いは、「短時間で完成する」、「誰もが真似をできないより質の高いオリジナリティ」です。これを言い回ししますと、どの分野でも通用する事に気づきますよね。

例えば、上司からあるプロジェクトに関する企画案を仕上げてきてくれと頼まれたとします。ある新入社員の方は、寝る間も惜しまずに一生懸命仕事をした、という事を上司に認めてもらいたいために、分厚い企画案を仕上げてきたとします。見た目は、頑張っているなという事が伝わってくるので、とても素晴らしい意気込みだと思います。

それでは、一方で、上司自身も内緒で、企画案を仕上げてきたとします。この上司は経験も豊富なため、短時間で企画を考え、夕方7時には実家に帰宅、家族で食事をとった後、充分な睡眠をとって次の日、通常通り出勤してきました。プレゼンでは、結局は上司自身で考えた案が多数決で採用される事になりました。企画案はとてもシンプルにまとめてあり、新入社員の分厚い書類に比べると薄い書類でした。この新入社員は、皆が上司を怖がって票を入れたんじゃないかと疑い始め、上司の案に目を通しました。しかし、結局、自分でも上司の案に納得してしまいました。

この二人の社員の差は、簡単には埋まりません。年月のみが埋める事ができます。そして、この新入社員も10年以上、同じ事を続け通した後に、この上司と同じように短時間で採用される企画案を仕上げられるようになります。経験があるとそれが自信になります。この自信がないと、分厚い書類を作成する事がゴールになってしまうという、無駄な苦労をし続ける事になります。イラストでも同じ事が言えます。自信のないイラストレーターは、線の数が無駄に多いです。自信のあるイラストレーターは、数本のラインで伝えたい事を表現する事ができます。しかし、この自信のあるイラストレーターも昔は、写真のような現実的な絵を描くために大量の線を使用して練習してきています。長年の訓練の後には、短時間で少量のラインで表現ができるようになるのです。

もうお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、これがシンプルなものほど奥が深いという事です。同時に、同じ事を長年続け通すということも大切です。それには、まず、自分の本当にやりたい事を見つける必要があります。そうでなければ、長続きはしません。その好きな事が長続きすれば、将来何が起こるかはもう明快ですよね。


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