2014年7月12日土曜日

現状の日本代表における長所と短所

現在日本のメディアでは、日本代表の次期監督候補として元RCDエスパニョール監督のハビエル・アギーレ氏を挙げている。一方でブラジルのメディアでは、元コリンチャンス監督のアデノール・レオナルド・バッチ氏が候補に挙がっていると報道している。色々な憶測が飛び交う中、協会側に期待したいのが、ブラジルW杯における日本代表の分析、並びに現状で最も伸ばすべき日本代表の長所的なスタイルである。これらは次期監督を選定する前に、冷静に遂行しておかなければならない最重要項目であると信じる。Creative Footballでは、個人的に、現状の日本代表における長所と短所を考察させて頂いた。


長所1:「サイドバック」

歴代における日本人選手の世界に通用するポジションを挙げるとすれば、サイドバックなのではないであろうか。元日本代表の奥寺氏に始まり、都並氏、そして長友といった選手らは世界に通用する屈指の日本のサイドバックであろう。そして他のポジションに比べ、不足しているという話題もあまり持ち上がらないのではないであろうか。又、日本には世界に誇れるマラソンの文化がある。スタミナが同時に要求されるサイドバックのポジションに困らないというのは、ここに由来する所が多いのかもしれない。世界的に見ても、元フランス代表のリザラズや、元ブラジル代表のロベルト•カルロスら、歴代して小柄な選手らが目立つ。日本人が、身長面で世界に劣る必要が無いポジションと言っても過言ではない。このサイドバックの選手らを応用すると、中盤でのサイドに起用ができるであろう。


長所2: 「システム」

日本人の国民性を言えば、真面目で規律を守る傾向がある、という事ではないであろうか。大多数の学校では、個を出す事より、協調性を重要視した教育体制を採用してきている。大人になってから突然、個を出せと言われてもどうして良いか分からない、というのが現状なのではないであろうか。成人してから個を出そうと努力している日本人選手らも存在すると推測されるが、幼少の頃に植え付けられたパターンに反する事は、リラックスしてプレーができないということに繋がるのかもしれない。リラックスができなければ、フットボールで重要な楽しむ、という姿勢からも遠ざかってしまうのではないであろうか。故ブルース•リーがコメントとして残した、「Be water (水になれ)」、というニュアンスこそが、自分達の最大限の力を引き出せる鍵となるのかもしれない。トルシエ•ジャパンで結果を出した3バックを筆頭に、個で戦うのではなく、11人で戦う方がより日本代表に合っていると信じる。


短所1: 「ワントップ」

これまでにもザックジャパンで悩まされてきた、決定的な仕事ができるワントップの不在である。ここを、9番のポジションと呼んでも良いであろう。欧州で言えばイブラヒモビッチやレヴァンドフスキ、南米ではスアレスやファルカオらといった選手らが代表的である。これらの選手は、ワントップというポジションで単独で点を取る事も可能である。一方で、これらの選手に匹敵する選手が日本人の中にいるかどうかは、現状では不確かである。ただ、イブラヒモビッチがコメントして残した、近い将来日本にも有望なストライカーが生まれるであろう、という言葉が示すように未来の可能性を信じなければならない。現状では0トップというシステムが流行しているが、オプションとしては考慮しても良いであろう。その際は3-4-3等の、3バックで最終ラインを統率し、中盤の両サイドには優秀なサイドバックの選手を配置する、というシステムを起用しても興味深い。そして、前線の3選手を中心に、システムを通じてフィニッシュするという工夫が必要となってくるのかもしれない。


短所2: 「トップ下」

日本におけるトップ下選手の不足は、これまでにそこまで話題に上る事は無かったのではないであろうか。それは、ワントップやセンターDFにおけるポジション不足により注目が集まった際の、死角だったのかもしれない。もし、ボランチを「チームの心臓」と例えるのであれば、トップ下は「チームの脳」と例えても良いであろう。故に、この「脳」に求められるのは、的確な判断とその実行である。このポジションで安易なパスミス等が起こると、カウンター等を受けチームに不利になる事が少なくない。トップ下を務める選手に適しているのは、誰もが頼れる正確性なのではないであろうか。言い方により、このポジションにおける優秀な選手らを、ファンタジスタとも呼ぶ。ジダン氏やルイ•コスタ氏らがその筆頭であろう。日本で言えば、マリノスの中村であろう。今回のW杯でも、同選手のプレーが見たかったファンも多かったのではないであろうか。ただ、イタリア代表のピルロらと同様、これまでにファンタジスタと呼ばれてきた選手らは当然年齢を重ねてきている。それがネックとなってか、ボランチに回ったり、代表に招集されない理由の1つとされているのかもしれない。ブラジルW杯でファンタジスタと呼ばれるようなトップ下の選手を挙げれば、コロンビア代表のハメス•ロドリゲスやイングランド代表のスターリングらに、その高い潜在能力が期待されるであろう。大多数のチームは、ファンタジスタより、フィジカルが強く柔軟性のあるFWの選手を配置する傾向にある。一方で、現状の日本代表を考慮すると、3-4-3等のシステムを基本に、中盤の真ん中の2人にはボランチ兼トップ下の仕事ができる選手の起用、というのが適しているのかもしれない。今大会に出場した山口や青山を筆頭に、柴崎のような若手らがこれからも成長していく事を念じている。

記事:Creative Football



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