2013年12月30日月曜日

情熱は「決心した目」を持たらす


Mission Possible / emilio labrador


昨日、カンヌは日曜日でした。フランスでは、日曜日になるとほとんどの店が閉まっているのですが、年末という事もあり多くのお店が開いていました。僕の妻と散歩がてらに街並みを歩き、あるチェーン店のワインショップに入りました。

お店に入り、何人かの店員さんとボンジュールと挨拶を交わし合いました。この日の店員さんは3人。40代ぐらいの男性が一人、20代ぐらいの男性と女性が一人づつ働いていました。この20代ぐらいの男性は、以前この店を訪れた時にもとても丁寧に詳しくワインについて説明してくれ、自分の好みの味を言うとすぐに何種類かの選択肢を分かりやすい理由と共に紹介してくれました。

この日は、イタリア人の企業を代表してワインを購入しに来たお客さんの相手をしたりと、大忙しでした。この店は、値段も手頃、質も高いという安心できるお店ですが、この若者はイタリア人のお客相手に10本以上の値段も少し高めのワインをきちんとした説明で売りさばいていました。とても手際の良い気持ちの良いサービスに加えて、売ろうとする嫌らしい魂胆が一切見られないというのは見ていて、大したもんだなと思いました。

このイタリア人のお客が帰った後、この店員さんの手が空いたので、早速、この前とは違うお勧めのワインはないかと訪ねてみました。すると、とても「決心した目」でワインの説明にとりかかりました。とにかく喋りだすと止まらない、でも聞いていて興味深いワインの知識ばかりです。しかも、マニュアルというより、何か自分で実際にお店の全てのワインを飲み比べたかのような言い草です。とても真実みがあり、そして何より、この店員の「決心した目」からワインに対する情熱が伝わってくるのです。同感した僕の妻は、このワインがいいんじゃないかと僕に勧めてくるぐらいです。

結局、すんなりと購入に至りました。お金を支払った後も、依然として、「決心した目」で、このワインを飲む前の1時間30分前にはコルクを開けておく事と、ワインを飲む際のアドバイスまで、聞いてもいないのに言ってくるのです。言い換えると、全てのワインをこれから巣立って行く我が子のように、こいつらの面倒を頼むというような言い草です。この時、僕は英語でこの店員に喋り、この店員は英語で僕に返答すると同時に、僕の妻にフランス語でも通訳するかのように喋るのです。

店を出た後、僕の妻が言ってきた事があります。僕はあまり気にしていなかったのですが、あの横で笑っていたもう一人の40代くらいの男性が気に食わないと言い出すのです。どうやら、一生懸命英語とフランス語の両方で話そうとしているあの「決心した目」を持つ若い店員のやり取りの仕方が滑稽に見えたようで、それを笑っていたようです。どうして僕がこの笑っていた店員のことをあまり気にしていなかったかというと、この店員の存在にあまり気づかなかったのです。お店に入った時に客から挨拶をされても帰ってこない、ワインボトルの周りをうろうろとしているが、特にお客にどんなワインが欲しいのかということも聞いてこない。なんだか、お客の中の一人と間違えてしまいそうな人ですね。目も特に情熱が伝わってくるものはなく、なんでこの人はここにいるのだろうか、と思ってしまいそうな店員とでも言うのでしょうか。

僕は基本的に相手の目の深い所迄見ます。そこに真実があると信じているからです。今新しい入居に移ったのですが、ここの新しい大家さんとコーヒーをご一緒した時にも、そういう話になりました。とても優雅なケアの行き届いたマンションの部屋を保持しています。今は定年して、昔は3つ程レストランを持つオーナーだったそうです。後から聞いたのですが、弟さんはフランスでも最高のコメディアンの一人としてランク付けされている方で、年末もテレビ番組で司会をされるそうです。この成功者の一人である大家さんは、レストランを経営する時に、一番嫌いだったのが、ウェイターの相手の目をろくに見ず、笑顔もできない態度だったそうです。相手の奥深い目を見れない者はだめだとハッキリと言い放っていましたが、僕も同感です。そして、あのワインショップの「決心した目」を持つ店員が良い例ですが、相手の目をしっかりと見て、ニヤニヤではなく素直な笑顔ができる者は、ビジネスの世界でも成功していると信じます。それは、売ろうとする嫌らしさがなく、お客が信頼して商品やサービスにお金を支払う事ができるからです。そして、支払った以上に、聞いてもいないその商品に対する親切なアドバイスまでくれます。これは、まさに情熱から来ています。

相手の目の奥深い所を見て、ニヤニヤではなく素直な笑顔をしながら、今自分のしている仕事を誇り高くお客に説明できているかどうか、自分に問い合わせてみてください。これが出来ているという事が、自分のやりたい事で成功するための大事なステップですよね。それには、まず、ご自分の本来の情熱探しから始めてみましょう。きっとそこから道が開けてくると信じます。


0 件のコメント:

コメントを投稿